アメリカンメロディアスロックの雄が遂に復活です。90年代の苦しい時代の活動だったが為に認知度は低いのかも知れませんが、ZEROコーポレーションから鮮烈なるデビューを果たしメロディ派のハートを鷲掴みにしたCaught in the Act。そのバンド名が権利の関係で使えなくなり(同盟のアイドルヴォーカルグループがいた)GUILD OF AGESと名乗ることに、AXEのボビー・バースの力添えを受けデビューを果たすのですが、2001年の作品を最後に活動を停止。アメリカのバンドにはない叙情性と泣きの要素、その泣きを倍増させるボーカルハーモニーとギターの絡み、キーボードの程ほどに、ロックの醍醐味を失わない哀愁を讃えたサウンドは王道だが、90年代としては個性的な輝きを見せていた。そんな幻のバンドが17年ぶりに新作を引っ提げ完全復活を果たしました。
オランダのポップ・グループからのイチャモンによりCAUGHT IN THE ACTからGUILD OF AGESへと改名を余儀なくされるも、メロディ愛好家からは一貫して根強い支持を取り付けるコロラド州デンバー出身の6人組が、ほぼ20年近い沈黙期間を経て'16年に発表した復活作。通算3作目(CITA時代も含めると5作目)。今回は盟友ボビー・バースの手は借りず、バンドのセルフ・プロデュース体制でレコーディングが行われいます。 重厚に絡み合うツインGにドラマティックな曲展開等、作を重ねる毎にHM路線への傾倒を顕著にしていった彼らですが、本作においてはヘヴィ・メタリックなエッジのみならず、大陸産のバンドならではの爽快感溢れるメロディにコーラス・ワーク、ピアノ(ショパンの“月光”調)イントロに導かれてスタートする序曲①と、厳かにアルバムEDを締め括るアウトロ⑫で本編をサンドイッチするというCITA時代の名盤『HEAT OF EMOTION』を思い起こさせる構成等、初期作と近作のエッセンスがバランス良く盛り込まれており、まさしく復活作に相応しいこれまでの総決算的内容に仕上がっています。 まぁ、それにしてはアルバム後半の息切れが気にならなくもないのですが、個人的には①~⑥の素晴らしさだけでアルバム購入代金の元は十分に回収出来ましたよ。特に物悲しいピアノのイントロでグッと掴まれ、ダニー・マルティネスのブランクをまるで感じさせない熱唱が胸焦がす劇的な⑤は、このバンドが持つポテンシャルの高さがしかと刻まれた名曲です。 それだけに、これ以降活動状況が全然伝わって来ないことが心配なんで、ぼちぼち新作をリリースしてくれたりすると嬉しいなぁと。待っとります。