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Free Spirit Soar / WARLORD
失恋船長 ★★★ (2025-07-05 19:52:10)
いやー、まさかWARLOADの発言が消えているとはね。1stからやり直しかぁキツいなぁ。なぜ消えるのだろう?もう100以上無くなっているな。

今作には並々ならぬ思いをメンバーは秘めているだろう。病気の為に他界した、バンドの首謀者だったウィリアム・J・ツァミス。後年は大学教授として勤務する傍ら音楽活動を行う才人でもあった。その彼が生前残したデモを無駄にすること無く、今回参加したメンバーが完成品を作り上げる。神秘的なジャケットが知性をくすぐるように、音楽性も初期のスタイルを継承。これこそ真の1stアルバムだよなぁと妙に納得してしまうほど、このバンドの持つ幽玄的な響きが暗黒舞踏へと導いていく。

最近、やたらと名前を聴くようになった現アルカトラスのシンガーでもあるジャイルズ・ラヴェリーは、バンドサウンドにフィット。彼の歌声もまた初期の世界観を蘇らせている。キーボードはジミー・ウォルド。彼はプロデューサーとしてもバンドの貢献、マーク・ゾンダーと共に、このオカルト神秘主義なサウンドを演出している。

フィリップ・バイノーとマーク・ゾンダーによる堅実なるリズム隊。フィリップはもっとファンキーな要素もあるのだが、ここではバンドの一員としてマークの相棒に徹している。彼の腕前は先日、奇跡の来日公演を果たしたステージを見れば、過小評価されている事に気がつくだろう。スティーブ・ヴァイに認められた逸材なのだから腕に疑いはない。YouTubeでも来日公演の模様が公開されているので、お時間のある方は検索して楽しんで欲しい。
まぁ、雑誌の中間にある売り上げランキング至上主義者はご遠慮頂いたですけどね。それにしてもライナーノーツやレビューじゃない。売り上げランキングとは驚きだよなぁ。

特筆すべきプレイヤーは他にもいます、ギターのエリック・ジュリスの存在でしょう。彼の貢献度は素晴らしく、この古典的なアメリカンメタルの血脈を守るべく、終始安定したギタープレイで魅了。メロディアスかつテクニカルなソロは勿論だが、このNWOBHM成分も存分に入った古典メタルの持つ幽玄なる響きをエリックなくしては語れない。

キーボードプレイヤーもジミーも同様、変化自在の鍵盤プレイヤーは、押し引きを心得たプレイで魅了。やり過ぎだと感じる面もあるだろうが、そこはデモ音源を完成させたというご褒美として好意的に捉えます。

マーク・ゾンダーにとって、今作は大きな財産となったろう。これほどの傑作をウィリアムなくして作り上げたのだから。耳を澄ませばウィリアムのギターが聞こえてきそうですよ。彼無しとは思えないクオリティと完成度の高さ。これぞWARLOADサウンドでしょう。世間から馬鹿にされた無観客ライブというトリッキーな1stがあるのだが、この作品は全てを受け止めクリアーにしてくれた。

これがアメリカン裏番長メタルの風格というヤツである。過ぎ去った時代の音を現代に蘇らせた至高の一品。各メンバーがいかに、このバンドのサウンドを理解していたか、それが全てを物語りますね。売り上げランキングでは語れない傑作。カルトメタル番長の真骨頂を堪能しました。
残念なのはこれが最後だと言うこと。もっと前にやってほしかっよ。運命とは皮肉なモノだとつくづく思いますね。

非の打ち所がないWARLOADサウンドなんだよ。それが最終章なんてねぇ、あんまりです。無念。ミュージシャンは、能書きを並べ立てカッコつけるだけの自我の権化であり、聴きたくもない自慢話を得意気にして他人に迷惑を掛けている事にすら気がつかない、自意識過剰な人間くらいで良いのに、大学教授になれる知性が邪魔をしたのだろう。無念じゃ。

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