"ジェネレーション・ダイナマイト""鋼鉄の巨人"に続いて桜井氏がリードヴォーカルを執るアルフィーのスピードメタル第3弾。ギターリフから始まるDP色濃厚ながらも音像は'80年代型HM/HRで、比較的平坦な音階の歌メロですがコーラスも含めてキー自体が高く3人とも限界シャウトでしょう。"もっときつい日々が君を待っている""時を越えて走り続ければ君こそSweet Hard Dreamer"という歌詞共々体育会系の勢いで突っ走ってますよ。旧来の本サイトユーザー諸兄に是非お薦めのキラーテューンです。
様式美BLACK SABBATHを支えた陰の功労者、故ジェフ・ニコルズ(Key)が在籍していことでも大事なバンドQUARTZが、BLACK SABBATHのトニー・アイオミにプロデュースを依頼し(結構ノリノリでアルバム作りに協力してくれたらしい)'77年に発表した『クォーツ・デビュー』なる新作腕時計の宣伝文句みたいな邦題が冠された1stアルバム。 彼らに関しては2nd『STAND UP AND FIGHT』(’81年)でその存在を知ったこともあり、てっきりNWOBHM集団に属するバンドだと思っていましたが、実際は結成時期が60年代まで遡る超ベテラン。なので本作に託されているサウンドにヘヴィ・メタリックな切れ味や疾走感は然程でもなく、寧ろ全体をベールのように被う薄暗さやシケシケ感等、兄貴分のBLACK SABBATHに薫陶を受けた70年代HRテイストが色濃く滲む仕上がりとなっています。一方で単なるサバス・フォロワーの地位に甘んじてはおらず、燻し銀のVoが歌う、愁いを湛えたメロディを携えて重厚に展開されるOPナンバー①なんて“HEAVEN AND HELL”を先取りしてしまったかのような名曲ぶりですし、後に続くKey/フルート/アコギを有用した、ちょいプログレ風味も入ったアレンジが初期MAGNUMを思わす②も最高。キャッチーなブギー③、ポップな序盤からシリアスに熱量を増していく④、ファズの効いたGが暴れ回るヘヴィな⑤…と続いた時点で、個人的には本作の完成度を確信するには十分過ぎるぐらいでしたよ。 新人バンドのフレッシュさとは無縁かもしらねど、代わりにこれがデビュー作とは思えぬベテランばりの貫禄と風格に痺れる一作です。(というか実際既に10年選手なんですけども)
高見沢の作詞をLINDA HENNRICKが英訳したアルフィー初の全英語詞曲ですと。"ジェネレーション・ダイナマイト"や"悲劇受胎"等がスピードメタルならこの曲はDPや初期JPを彷彿させるハードロック。音像に限ってはどこがAmericanなのって位坂崎のヴォーカルもROB HALFORDしちゃって。"Knockin' on the door of opportunity"ってDPの復活ヒット? いやあっちは"~at Your Back Door"で裏口ですから歌詞にはしっかりタイトル通りのスピリットが表れていますよ。
グラサンかけた禿頭のオッサンが、ギターを構えてニッコリ微笑むジャケットだけ見ると俄かには信じ難いかもしれませんが、かつて輸入盤市場において「掘り出し物の作品がある」と高評価を獲得し、少し遅れてテイチクから国内盤のリリースも実現しているTHE ALEX PARCHE PROJECTが'93年に発表した1stアルバム(邦題は『ファースト』)。 中心メンバーはドイツ人ギタリストのアレックス・パーチ(今何やってんだろと調べてみたら'09年に肺炎で亡くなられていて驚いた)。当時は名前すら知らなかったのですが、参集したACCEPT~U.D.O.のウド・ダークシュナイダー、THUNDERHEADのテッド・ブレッド、VICTORYのフェルナンド・ガルシア、VENGEANCEのレオン・グーヴィ、謎の女性シンガー、アマゾン(仮面ライダーか)といった錚々たるゲスト・シンガーの顔触れからも、本国において確固たるキャリアを築いてきた御仁であることは一目瞭然(ZED YAGO~VELVET VIPERのユッタ・ヴァインホールドとBRESLAUなるバンドをやっていた時期もある模様)。 クラシカルな味わいを湛えたインスト⑥みたいな楽曲もあるものの、基本Gテクの披露より楽曲優先の姿勢が徹底されており、ゲストの助力も得て書き上げられている収録曲は、キャリアに裏打ちされた作曲術の冴えが伺える仕上がり。特に印象的なGリフが踊る哀愁のメロディアスHRナンバー①、正統派HMをテッドに歌わせるという人選がナイスな疾走ナンバー③、ウドの特徴的な歌声もあってまるでU.D.O.&ACCEPTな④と、イントロから演歌にも通じる猛烈な泣きを発散する⑦辺りは一際強い印象を受けた逸曲に仕上がっていましたよ。 同路線の2nd『SON OF A HEALER』共々、もし見かけたら一聴をお薦めする良盤です。